物理学やってる大学院生の生活

私は人に自慢できるほど充実した生活を送っていたとは 言い難いのですが、大学院生時代の生活を一例として紹介してみたいと思います。 物理の分野で大学院へ進学を考えている人の参考になれば幸いです。

物理系大学院生の生活


私は理論物理屋なので実験はしません。主に紙とペンで計算するか、本や論文を読むか、 パソコンで数値計算をするか、などですね。 研究室によって雰囲気が少し違うので、過ごし方にも若干の違いがあるかもしれませんが 基本的に理論物理系の研究室では各々の時間の使い方は自由です。 他の分野でときどき耳にするような、一日のうちに何時間は研究室にくるべし、みたいな 規則はあまりないです。

ほとんど研究室に来なくても 自分でガンガン研究を進めていけるならそれはそれでOKだし、毎日研究室に来て誰かと議論しながら 研究をすすめるスタイルもありです。自由だからといって遊びまくっていてゼミのときに 「何も進んでいません」みたいな報告が続くとさすがにまずいですが、自分のやるべきことを しっかりやっていれば、何か言われることはありません。

そういう意味では自分で好きなように計画を立てて研究を進めていけるので、 人に縛られたくない人にとってはいいかもしれません。 とくに博士課程に進学すると、研究の計画をまかされるようになるのでより一層その傾向がつよくなります。 もともと放任主義の研究室も多いです。

逆にいうと、自己管理がすごく大事になってきます。いついつまでにこれをやるとか、 今日は計算をここまですすめるとかを自分で決めてきっちりやっていかないと、研究が進まなくて卒業できません。

物理系大学院生のお金事情


次にお金事情について説明していきます。 大学院生の生活は基本的に質素だと思います。 海外では違いますが、 日本の大学院では学費を納める必要があるので生活費に追加で学費がかかります。 学費や生活費をまかなうために研究と並行してバイトをしたり、奨学金を借りて過ごす人が多いです。 奨学金は基本的に返済しなければいけませんが、給付型のものをもらえるとかなり助かると思います。

また、大学でteaching asistant(TA)というポストがあり、 研究室の先生の手伝いをしたり、講義の準備やレポートの整理などの業務をすることでお金をもらうことができます。 ただそんなに多くはないのでこれだけで生活するのは厳しいです。 研究で成功して学術振興会の支援金などをもらえた人はそれなりにリッチですが、 お金をもらえるのはほんのひとにぎりの人だけなので大抵の人にはあてはまりません。

私は幸運なことに学費を免除してもらっているので、 生活費だけですがバイトはせずに、TAの収入と親からの仕送りで生活しています。 決してぜいたくはできないと思いますが、そのぶん研究を楽しみながら上手くやりくりしていけば そんなに辛いものではないと思います。

物理系大学院生の就職事情


今度は就職についてです。 私は就職活動もまだ始めていないので、 正直そこまで詳しくはないのですが周りの後輩や先輩方を見た感じを伝えていこうと思います。 むしろそのほうがリアルな情報な気がするのでいいんじゃないでしょうか(笑)。

物理学、特に理論物理学の基礎研究というのは化学や生物の研究に比べると 普段やっていたことが企業でそのまま役に立つということはまずないので、 就職は厳しいと思われがちです。

しかし、物理学を研究するうちに身につく 物事を論理的に考えて結果を出す力や問題の中心となっている部分を抽出する力は 就職してからの戦力として重要視されるようです。 また大学での研究分野と就職先での分野が大きくちがっても、大体は研修で基本的なことを教えてくれるので そこまで苦労されることはないようです。

意外と銀行員や教員、県庁職員などの公務員になる方が多いです。 それ以外で言うと、企業で研究を続けられる方やポスドクとして研究を続けられる方もいます。 また、理論物理学では普段から数値計算などを行う際にプログラミングを自然に勉強するので IT関係に就職する方も何人かいました。

まとめると、物理をそのまま使うような仕事は難しいかもしれないけど 他の分野と比べて就職できないということはないです。

最後に、一日の過ごし方の例を載せておきます。

わりとちゃんとしてるときの一日



7:00 起床
8:00 朝食、論文読み、勉強
10:00 大学へ行く、arxiv論文チェック、メールチェック、研究の計算
12:00 昼食
13:00 研究の計算、ゼミなど、その他の作業
20:00 帰宅、夕食
22:00 趣味など
24:00 論文よんだりだらだら
1:00 就寝

しっかりやることやってるときはこんな感じ。毎日これくらいできるといいんですがたまにだらけて ぐだぐだなときもあります。

ぐたぐたなときの一日



11:00 起床、朝食or昼食
14:00 arxiv論文チェック、メールチェック
15:00 大学へ行く、研究の計算など
19:00 帰宅、夕食
20:00 だらだら
2:00 就寝

振り返ってみると我ながら時間もったいない(笑)。

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