スピン角運動量の話
スピン角運動量って結局何なのか
最近スピンについて復習することが多かったので、改めてスピンについて考えてみようと思います。 とはいってもスピン1/2の系とかスピン演算子が満たす代数とかについてはわかりやすい本やサイトが たくさんあるのであえてここでは触れません。
スピン角運動量というのはその名の通り角運動量の一種で,粒子の軌道運動に由来する軌道角運動量 とは違って粒子のスピンに由来する角運動量です。 物性やハドロンを学んでいるとスピンという量は電子のスピンやクォークのスピンなど,いたるところで 出てきます。今となっては慣れて当たり前みたいになってるけどそもそもどうやって出てきたっけか。
本を読んでいると,歴史的には実験結果をうまく説明するようにスピンを導入した,
ということがよく書いてあります。スピンがあるということにしないと物理がうまくいかないみたいです。
スピンは完全に量子力学的なものなので,古典力学を学んできて最初に
量子力学をやり始めたときに今までの古典的な感覚からはなかなか理解しにくいものですね。
一応説明としては粒子の自転みたいなものがスピンだというのがありますが,いまいち納得がいきません。
量子力学で出てくる粒子ってほぼ点だし,点の自転というのはよくわかりません。粒子にとって固有の値
を持つという性質もあるのでさらに不思議です。
理解につながるかわかりませんが,剛体の自転とスピンを比べてみようと思います。 回転する剛体の角運動量は慣性モーメント$I$ と角速度ベクトル$\boldsymbol{\omega}$を用いて
と表されます。 質量が$M$で半径が$R$の球が回転しているとすると 慣性モーメントは$I=\frac{2}{5} M R^2$であることが知られているので 角運動量は以下のように表せます。
このとき半径が限りなく小さい粒子であるとすると$R=0$なので角運動量は$0$ になってしまいます。有限の値を持つには$\boldsymbol{\omega}$がめちゃくちゃ大きくないと いけませんが,そんなに高速で回転しているとするとこの球の表面の微小部分の回転速度が 光速より早くなってしまいそうです。 やっぱりスピンは単なる自転としては説明できなさそうですね。
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