散乱過程とchannel

冷却原子系の論文などでチャンネルという言葉が使われることがよくありますが, きちんと説明されることが少ないのでここで説明しようと思います. この言葉は散乱の話で出てくるものです.

散乱過程において始状態と終状態は散乱する粒子のスピンや原子の種類,励起状態などの粒子数で指定されます. この量子数の組のことをチャンネルといいます. 始状態を$\ket{i}$,終状態を$\ket{f}$とすると$\ket{i} \rightarrow \ket{f}$という過程そのもののことを チャンネルという場合もあります.

原子は微細構造などたくさんの量子数を持つので,原子同士の散乱では複数のチャンネルがあることが普通です. 散乱に関与する量子数の組が一通りしかない場合はチャンネルを導入する必要性はあまりありません. 多チャンネルの散乱過程の場合にはある散乱過程に関与する量子数の組が複数あるのでチャンネルという概念を使って 区別することができると便利なのです.

冷却原子系で利用されるフェッシュバッハ共鳴は2つのチャンネルの結合をもちいて説明されますが, このチャンネル間の結合とは,あるチャンネルが別のチャンネルに影響を与えるということです. また,最後にチャンネルについてopen channelとclosed channelの違いについて述べておきます.

  • open channel ・・・ 実際に起きる過程の量子数の組
  • closed channel ・・・ 実際に起きない過程の量子数の組

  • ページTOPに戻る